
ご質問ありがとうございます。
今回はエビデンスを交えつつ回答させていただきます。
身体が柔らかくなるとは?
そもそも身体が柔らかくなるとは一体何でしょう。
患者さんとセラピスト間で意味は違うかもしれませんし、専門職である我々の間でも違う意味かもしれません。
臨床で多い解釈は、
筋肉の硬度が低下することを柔らかくなると捉えるか?
それとも関節可動域の拡大を柔らかくなると捉えるか?
の2つです。
ただ、患者さんの思考で多いのは圧倒的に後者であり、関節可動域にとにかく着目することが多いです。ただ、関節可動域だけが改善し筋肉の硬度が低下していない場合という状態も臨床では多いです。
これはストレッチトレランス(伸張感への慣れ)と呼ばれており、端的に言うと「伸張感に耐えている」だけであり動きの軽さもありません。
となると、セラピストとしては【動的トルクが低下した上で関節可動域も拡大した状態】が身体が柔らかくなったと考えていいと思われます。
※動的トルクとは、一定の角速度で関節を他動的に動かす過程で生じた抵抗を測定したものです。
つまり、関節運動時に抵抗感が減弱することで動きが軽くなり、可動域も広がった状態というわけですね。
まとめるとこんな感じです↓
今回は➀の動的トルクを起こすためのエビデンスをご紹介します。
私のストレッチセミナーから一部抜粋した資料です。
伸張時間およびセット数はご覧の通りで、期間は赤文字で示しています。
これを見ると、3~6週間で動的トルクが低下していることが分かりますね。
結論付けるのはまだ早いので、もう少し見てみましょう。
これはレビュー報告になります。3~8週間の期間ストレッチした研究を集めた結果、関節抵抗や筋構造の変化は不均一であったとまとめています。※もちろん、不均一ということなので、先述した4つの報告然り抵抗感が減弱する報告もあります。
しかし、総合的に判断すると、8週間以内でのストレッチではストレッチトレランスの増強(伸張感への慣れ)が生じる事で関節可動域が拡大した。というわけですね。
ここまでをまとめますと、
8週間以内でも動的トルクは低下するが、低下しないとする報告の方が多い。
といえます。
なので、患者さんに説明するとすれば、
3週間以上でも身体は柔らかくなる可能性はあるが、8週間は継続した方が柔らかくなります。
という返答を推奨させていただきます。
あと補足ですが、せっかくストレッチで動的トルクが低下しても、休んでしまうとまた硬くなります。↓
この報告では、5週間のストレッチでトルクも筋硬度も低下したが、そこから5週間ストレッチを休んでしまうと、またトルクや硬度は上昇するという結果でした。
先程の推奨する期間だけでなく、こういった【継続】の重要性もお伝えすることが望ましいと考えています(^-^)