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お待たせいたしました。
既に脊髄腫瘍による神経症状↓が、プラトーに達し症状固定とした前提での回答をさせていただきます。
【アシュワーススケール2、左下肢重度表在、深部感覚障害動作時に下肢伸展共同パターン出現、膝蓋腱反射亢進 両側 アキレス腱反射 正常or亢進】
まず結論から申し上げますと、独歩自立は厳しいと考えています。何をもって自立とするか?に寄りますが。。。
※私の考える独歩自立とは、BBSやTUG、10m歩行がカットオフをこえ、観察評価で転倒リスクがなく、独歩で転倒歴がない場合と捉えています。
あくまで文面上の推論ですが、
①現在のレベルが車椅子レベルであること、②直近のレベルがロフストランド杖だったこと、
③神経症状や廃用
これらを踏まえると、独歩自立は容易ではないと考えます。
ただ、こういった客観的数値を加味せず、観察評価のみで【ふらつきが少なく歩けてる】を重視すれば可能かもしれません。
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ここからは私の臨床経験を踏まえてお答えしていきます。
転移性脊椎腫瘍で全盲の方を担当したことがありまして、その方も両下肢痙性、深部感覚表在感覚共に消失、車椅子移乗は痙性を活かし自立なレベルでした。
ですが、この方は最後まで感覚は改善せず痙性も変わらずでしたが、歩行器自立、伝い歩き見守りレベルまでは回復しました。その経験を中心にお伝えします。
とにかく【感覚入力-認知フィードバック】と【廃用性筋力低下に対する筋力増強】を中心としたアプローチを推奨します。
【筋収縮の努力感】をフィードバックします。例えば、スクワットで膝角度を指定してやっていただき、角度のずれと努力感の認知を高めたりします。
①一定の筋収縮の維持
②負荷変動に対する対応
③運動実施時のエラーを検知し自己修正
この3つをポイントにし、とにかく感覚を加え、皮質レベルへフィードバックを与えていきます。
初めは、歩行時の力の入れ方がわからず立脚期に膝折れをしたり、逆に遊脚期に膝を棒状にしたりすることもありますが、
フィードバックの繰り返しにより、エラーが修正され改善されていく症例(感覚障害は不変)はいくつか経験しています。
【適切な筋緊張を保って、相反抑制や共収縮ができるようになり、足底の荷重感覚があれば可能なのかな】
よって、これに関しては、認知機能にフォーカスを当てることで、正常歩行は厳しいですが学習された歩行は獲得出来る可能性はあると考えます。
【自動でのストレッチで筋緊張は低下するのか、他動の方が良いのかな】
筋緊張低下はどちらでも起こると思います。他動なら1b抑制狙い、自動なら1a抑制や反回抑制狙いになりやすいので、どちらが落ちやすいかは試してみるのが良いですね。
ただ根本が脊髄由来なので即時的効果のみとは思います。運動時の共同運動はストレッチでは改善が難しく感じます。
ここ2-3Mで能力低下が著しい。
この原因が単なる廃用であれば、筋力増強で対応し、他の原因であれば、現存する筋力に相当する歩行器レベルを目標とした認知フィードバックが良いかもしれません。