多裂筋の解剖学
起始:胸腰椎の横突起、第4仙骨孔までの仙骨後面、上後腸骨棘、椎間関節包
停止:2つ以上頭側の棘突起
起始停止でのポイントは、仙骨の第4仙骨孔からも起始している点です。
一般的には、仙骨上の多裂筋にアプローチというより、腰椎付近の線維に着目する事が多いと思います。
起始停止を参考にしたうえで、触察におけるポイントを以下にまとめます。↓
・L2~L3レベルより頭側では、最長筋に覆われている。
・下位腰椎レベルの多裂筋の占める割合は約8割。
・L4より尾側であれば最長筋は表層に見られにくい。
・特に上後腸骨棘レベルでは、多裂筋より表層は胸腰筋膜のみであるため、触察が非常に容易。
多裂筋の触察ポイント
以上より、多裂筋を触知する場所はL4以下及び仙骨付近までであれば、他筋の影響がほぼなく、多裂筋単体の触知が可能となります。
ですが、胸腰筋膜は体幹背部全体を覆っています。この筋膜の影響も極力なくすことも触察時には重要です。
よって、具体的な触知手順を示すと、
前提条件―胸腰筋膜の緊張を落とすために、可能な限り胸腰椎を中間位~伸展位で弛緩させておく。
➀ヤコビー線にて、L4~L5棘突起の左右を触れておく。
②上後腸骨棘ラインを探し、S2に触れておく。
③腰椎を伸展させ、①②の部位で腰椎伸展時に膨隆する筋線維を触察出来る。
となります。
何度もお伝えしていますが、腰椎レベルだけでなく、仙骨上の膨隆を触知する事を忘れないようにしてください(^-^)
それでは、触察が出来た上での徒手療法についてご紹介します。
多裂筋への徒手療法―腹臥位揺らしテクニック
手順を示すと、
➀患者さんを腹臥位に。
②多裂筋と骨盤を触知し、心地よいリズムで揺らす。
これだけです。個人的な感想では、めちゃ効果的です。多用してます。笑
動画を以下に示します。ご参考に(^-^)↓
多裂筋への徒手療法―側臥位での押圧法
これは、単なる押圧刺激で筋緊張を落とすだけの話ではあります。
ただ、解剖の章でご説明した通り、腰椎レベルだけのマッサージだけで終わらず、仙骨上の押圧もする事をおススメします。意外と、押圧する筋線維が違うだけで結果が変わる事もあります。お試しください(^-^)
個人的には、腹臥位でのテクニックが最も即時効果は出やすい印象です。
痛みの誘発もなく、心地よさも与えられるため適応範囲も広いのが強みです(^-^)
腹臥位そもそもがとれない場合は厳しいですが。
ではでは、今回は以上です(^-^)