大腿骨前脂肪体の機能解剖

大腿骨前脂肪体の基礎解剖

パテラセッティング (3)

膝蓋上嚢よりも深層で、大腿骨との間に存在する脂肪組織です。prefemoral fat pad(PFP)と呼ばれることも多いです。

大腿四頭筋腱が滑らかに動くためには膝蓋上嚢が同時に正常に動くことが重要で、さらにはこの大腿骨前脂肪体の動きも重要です。

大腿骨前脂肪体の動態

動態としてはこのようなことが言われています⇓

パテラセッティング (6)

ゴムボールをイメージしてみて下さい。ゴムボールを横から潰すと中央部の厚みが増し、離すと横に広がりながら元の多さに戻りますよね。大腿骨前脂肪体も似たようなイメージで良いかと思います。

こうして伸展時に厚みが増すことで、大腿四頭筋腱と大腿骨との距離が増大し、伸展効率が高まり、屈曲時に狭小化することで、大腿四頭筋腱の伸張量が減少します。

このように膝関節屈伸時には大腿骨前脂肪体が姿形を変え、サポートしてくれています。

参考書籍

・北村清一郎,馬場麻人(監修) 工藤慎太郎(編集). 運動療法 その前に!運動器の臨床解剖アトラス,医学書院,2021.
・青木隆明(監修) 林典雄(執筆) . 改定第2版 運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹,メジカルビュー社,2012.
・島田洋一(編集) et al. 第3版 整形外科 術後理学療法プログラム,メジカルビュー社,2020.
・整形外科リハビリテーション学会(編集) 林典雄(編集委員) et al . 改定第2版 整形外科運動療法ナビゲーション 下肢,メジカルビュー社,2014.
・林典雄.運動療法のための運動器超音波機能解剖 拘縮治療との接点,文光堂,2015.
・園部俊晴. 園部俊晴の臨床 膝関節,運動と医学の出版社,2021.
・林典雄(監修) 橋本貴幸(執筆) 園部俊晴(編集).膝関節拘縮の評価と運動療法,運動と医学の出版社,2020.