ストレッチの時間と指導の注意点

ご質問ありがとうございます。眞本です。

今回はストレッチの秒数とセルフ指導の注意点とは?について、回答させていただきます。

 

 

秒数別の効果とは

何秒くらいしたらいいですか?に答えるために、ストレッチの研究をいくつかご紹介していきます。

 

 

1){Kubo 2002

45のストレッチを110回行い20日間継続した。

結果、スティフネスは介入前と比較して有意に低下した。

 

2){marshall PW 2011

6のストレッチを週5回、4週間継続した。

結果、スティフネスは介入前と比較し有意に低下した。

 

 

3){Guissard N 2004
10
のストレッチを週5回行い6週間継続し、介入前と比較しスティフネスが低下した。

如何でしょう?45秒、6分、10と報告によって違いますね。これだけでは結論は出せません。

 

ここで大事な臨床疑問が一つ出てきたとします。それは、ストレッチによる伸張時間は、合計時間が大事なのかということです。

 

例えば、10秒を5セットするのと、501セットするので効果に差があるのか?

疑問に思ったことはありませんか??

 

結論から言うと、大事なのは一回の伸張時間よりも、合計時間が重要との報告が近年増えています。ではその根拠を次の論文で示します。

 

 

4){中村ら 2017

対象者に対し、合計時間を2分間に統一し、

60 × 2 (60 s)

30 × 4 (30 s)

10 ×12 (10 s)

3方法で腓腹筋に対しストレッチを実施。

 

結果は、3方法全ての群で筋のスティフネス低下がみられ、群間で有意差みられなかった。と報告されています。

つまり、合計時間を設定していれば、一回の伸張時間は重要ではないということですね。ストレッチ毎に効果が加算されていくイメージを持っていただけたら良いかと。

 

 

また、

5){Johnson 2014は、

SSの合計時間を90秒に統一して、30×3 回と10×9SS介入がROMに及ぼす影響を検討した結果、両者の ROM 改善効果に違いはなく、持続時間や反復回数よりも合計時間が重要であると報告しています。

 

4)(5)から、

合計時間においてまず重要な知見は、

 

・一回の伸張時間より合計時間を念頭に置くべき

 

だと言う事ですね。

ではでは、合計時間というのは具体的に何秒なのか?結局そこが判明しないと処方出来ません。

 

そこで、次に以下の論文を見てください。

 

6){Nakamura 2013らは、

MTUや筋のスティフネスを減少させるために必要な時間を検討した結果、最低2分間のストレッチ持続時間が必要である。と報告しています。

 

でも、2分で相当長いですよね。1分ではどうか?と考える方もいるかと思うので、以下の論文を示します。

7){Bandy WD 1994}は、

57人の被験者のハムストリングスを対象に6週間のストレッチを、

15秒間伸張群

30秒間伸張群

60秒伸張群で関節可動域で比較検証した。

結果、15秒群と比較し30秒群、60秒群で有意に可動域が改善したが、30秒と60秒で効果に有意差はなかった。との報告。

よって、1分の伸張はおススメ出来ません。

 

裏を返せば、2分以下のストレッチを行なっても、筋組織、筋膜組織自体は柔軟性は改善していないということです。

 

それより短い間でのストレッチで良くなるのは、【ここは個人的意見ですが】

・筋肉の伸張に対しての心理的な慣れ

・神経的要素(自己抑制)

・筋血流改善

といった、一時的な短期効果止まりの要素が大半を占めると思います。

 

 

少し話が逸れましたが、伸張時間をまとめると、

①最低2分間以上の伸張で筋の柔軟性は改善する

②だが、一回の伸張時間よりも、合計時間が重要である

 

よって、上記エビデンスを考慮すると、

伸張時間は、

最低でも2分間の伸張が必要である。ただし、それは1回のストレッチでの時間ではなく合計時間としての2分間である。

と結論付けさせていただきます^ ^

 

 

指導の注意点

セルフ指導においても、この結論を参考にしていただき、合計時間を考えてのストレッチを指導することを推奨します。例えば、2分を休憩無しでやってしまうと、長く感じてしまい続かないことが実際多いです。なので、続けられる秒数(10秒か30秒)のセット数で増やすやり方もアリかと思います^ ^

おすすめの記事