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#1005
池田拓未
キーマスター

回答させて頂きます。
まず結帯の動きを母指先端の高位レベルごとに肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節で分けて考えます。

肩甲上腕関節の動き 1)
内旋は0°〜41.4°と初期に大きな動きを示し、最終的に47°となる。
母指先端が尾骨からTh7に到達するまで6.6°しか内旋しておらず、下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っている。
伸展は下垂位-3.1°から最終的に26.7°まで変化した。外転は最後のTh12〜Th7の相では変化が少ないという特徴を示した。

肩甲胸郭関節の動き 2)
前額面上での肩甲骨の運動として
下垂位〜L5:挙上・内転位
L5〜Th12:挙上・上方回旋位
Th12〜Th7:下方回旋位

また矢状面では
下垂位〜L5、L5〜Th12:前傾
Th12〜Th7:前傾角度の変化はほぼなし

これらの報告からTh12を境に肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の運動が切り替わります。
ですので、提示されているケースに関しては、結帯レベルがTh12に達しておりませんので、肩甲上腕関節へのアプローチが有効かと思います。

そして内転結帯にしろ、外転結帯にしろ、肩甲上腕関節の内旋、伸展の可動域が必要となります。
制限因子としては”棘下筋”と”烏口腕筋”の伸張性低下が考えられます。これらの伸張性を確認後、伸張性低下が疑われれば、ストレッチを実施し、Th12レベルまで到達すれば、その後は肩甲胸郭関節のアプローチへと移るという流れがスムーズかと思います。

1)高見武志, et al. "結帯動作における肩甲骨周囲筋群の筋活動について." 関西理学療法 11 (2011): 65-70.
2)本田俊介, et al. "結帯動作について Motion Capture を用いた 3 次元的解析." 理学療法学 Supplement Vol. 31 Suppl. No. 2 (第 39 回日本理学療法学術大会 抄録集). 公益社団法人 日本理学療法士協会, 2004.