返信先: 下腿両果骨折術後の評価からアプローチに関して

ホーム Question&Answer 質問コーナー 下腿両果骨折術後の評価からアプローチに関して 返信先: 下腿両果骨折術後の評価からアプローチに関して

#1346
眞本匠
キーマスター

回答させていただきます。
まず、今回はご質問が症例検討の形になっておりますので、「あくまで回答は参考に留め、質問者様のご判断での活用としていただく]ということをご理解ください。

いただいた情報から推察出来ることは回答させていただきますが、勿論実際に見ているわけでは無いのでベストではないと思います。

【①徒手抵抗アプローチに関して】
外傷後及び術侵襲後は、組織の修復過程において周囲組織と癒着しながら修復していきやすいです。
また、癒着剥離操作としては、「癒着組織に対し、適度な伸張操作と適度な筋収縮の繰り返し」が効果的と言われています。↓
伸張は2〜3秒、収縮は10回1セットを推奨されています。詳しくは以下のURLより。
https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758102469/111.html

一つ勘違いしやすいのは、[癒着]という用語についてです。癒着にはグレードがあります。グレードの詳細はこちら↓

医療関係者へ


早い話、完全に形成された癒着は徒手では剥離困難です。と言うかあり得ません。

[我々としては、癒着が起こる前の関節運動がスムーズな時期から、上記の癒着剥離操作を行うと良いと考えています。]

【②徒手で距骨を押し込むのか】
そうですね、こればっかりは実際に見てみないと分かりません。
骨は刺激次第で形態を変化させる組織です。
距骨も例外ではなく、過度な刺激により棘が出来る場合もあります。
なので、背屈しても下腿三頭筋の伸長が無いのにROM制限がある場合は、骨の形態異常及びアライメント異常を考えています。

もし触診で距骨の形状に左右差が無いのに背屈可動域に差があるのなら、距骨押し込みは有効だと思われます。

距骨の形状に差があったとしても、押し込み自体は試す価値はあると思います。ただ先述した通り、過度なROMで押し込もうとすると、更なる刺激に繋がりかねませんので、無理は禁物ですね。

【③足関節周辺の締め付け】
筋出力の低下の可能性も十分考えられますね。ですが、片麻痺で下肢遠位筋が優位に弱化していたり、腓骨神経麻痺で足関節周囲筋の出力が低下している方が、それを締め付けと表現することが多いかと言われると、個人的にはあまり聞いたことがありません。
※勿論、知覚の仕方は個人差があるので、これらの方でも締め付けと表現する方はいるとは思います。

なので筋出力低下以外にも、やはり[骨折による荷重違和感、荷重制限による感覚閾値の変化、]が原因として考えられます。

例えば橈骨遠位端の方に壁に対して手首で突っ張ってもらったり、大腿骨頸部骨折の方に荷重したりすると、「痛みはないが違和感はあるor変な感じがする」といった表現は比較的よく聞かれませんか?

これは、仮骨の状態での荷重による骨支持性低下による違和感、あるいは6週免荷による荷重感覚低下による違和感の可能性が考えられます。

【④炎症での下肢挙上】
個人的にこの指導はしていないのですが、
睡眠不足であれば重視しなくても良いかと思います。実際に指導していないので、詳しくは答えかねます。申し訳ございません。

【⑤+評価アプローチ】
3D-CTやレントゲンで、どの方向に骨折線が入っているか、危険な荷重方向は無いのか?をまず確認します。

また、骨折線の方向から損傷している軟部組織(靱帯や筋)が無いかも推測し、筋力評価、靭帯テスト、疼痛評価を行います。

創部周囲の可動練習及び皮膚状態の感染が起きていないかのアセスメントも重要です。

アプローチとしては、
足趾を動かすことによる下腿後面筋の滑走性改善、ショートフットエクササイズ[足趾伸展位でのアーチ挙上]、荷重位でのカーフレイズ時に、内返しや外返しを入れます。
これらにより、
下腿後面の硬さがあるのなら脂肪体の柔軟性も一緒に緩んでくると思われます。