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回答させて頂きます^^
結論から申し上げますと「腫脹と浮腫を見極める手段は圧痕が有効であり、本症例においては浮腫以外のものによる腫脹の可能性が高い」と考えます。
と言いますのも、おっしゃるように骨折後は炎症による腫脹と循環不全による浮腫が生じます(厳密にいえば浮腫は腫脹の1つ)。
これが浮腫なのか、浮腫以外のものなのかを鑑別するには”圧痕”を確認する必要があり、圧痕が残るようであれば浮腫だと鑑別されます。
一方で本症例のように圧痕がなければ、腫脹(血漿成分の漏出、軟部組織の増生など)が考えられます。これでおおまかな鑑別は可能であり、本症例は「圧痕を確認すると、へこみにくい感じで張りがある」という所見から、腫脹の可能性が高いと考えます。
ただ実際の臨床では少し圧痕が残るけど、そこからは凹みにくい感じがするという現象に遭遇することも少なくないかと思います。
この場合は、両者が混在しているというふうに考えています。本症例では受傷後どれほどの時間が経っているかは分かりませんが、炎症はまだ完全には沈静化していないですし、循環不全も残存しているはずです。
また間質液の組織間での貯留は線維芽細胞の増加をもたらし、不可逆的な皮下組織の肥厚をもたらす1)そうです。こういった紛らわしいケースも存在しますので、原因を断定することは結構難しい印象です。
ただ我々が汎用性高く腫脹と浮腫を鑑別できるものは”圧痕”所見ですので、その程度を参考に腫脹と浮腫が混在していることはありきで、それぞれの程度を把握しておく必要はあると思います。
1)細田多穂 et al.理学療法ハンドブック 改訂第4版 第1巻 理学療法の基礎と評価.協同医書出版社,2010.