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回答させて頂きます^^
以前にもお伝えしましたように上記の状態であれば、私はまず”伏在神経障害”を考えます。
伏在神経障害の主な症状は膝内側〜下腿内側にかけての疼痛、知覚障害、圧迫による放散痛などが挙げられます。
改めてこれらを丁寧に評価してみて下さい。圧痛については、Hunter管や縫工筋(縫工筋内を伏在神経が貫通していることがある)1)で取るのが分かりやすいかと思います。
実際にTKA後に伏在神経障害が出現する例は稀ではありません。と言いますのも、TKAがmid-vastus法で実施された場合、内側広筋斜頭(VMO)が侵襲されます。実はこのVMOには伏在神経膝蓋下枝が分布しており2)、伏在神経自体もダイレクトに侵襲される場合があります。
ちなみにmid-vastus法でない場合も、術後の浮腫によってHunter管が圧迫された場合にも、伏在神経障害が起きることもあるかと思います。
これらの伏在神経障害は自然寛解することがほとんどですが、稀に神経腫切除に至るケースもあるようです。3)
ですので、一度これらの伏在神経障害を疑い、もしも所見が合うようでしたら、Drと所見を共有する必要がありますね!
<参考論文>
1)松永和剛 et al. "伏在神経膝蓋下枝の走行について." 整形外科と災害外科 46.3 (1997): 838-840.
2)Thiranagama R. Nerve supply of the human vastus medialis muscle. J Anat. 1990 Jun;170:193-8.
3)伊藤直之 et al. "人工膝関節置換術後に生じた伏在神経膝蓋下枝障害に対し神経腫切除術に至った 5 例." 理学療法学 Supplement Vol. 41 Suppl. No. 2 (第 49 回日本理学療法学術大会 抄録集). 公益社団法人 日本理学療法士協会, 2014.