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#1726
眞本匠
キーマスター

回答させていただきます。
「膝が内側に入りながら」という現象は臨床でよく遭遇しますよね。

この現象は、言い換えると「下腿が鉛直配列ず内に倒れる」とも言えます。

内に倒れる理由としては、

・股関節の内転内旋

だと考えられます。ではなぜこの二つの理由が起こるのか?について紐解いていきます。

【股関節周囲筋の低緊張で内に倒れる】
座位姿勢では、股関節周囲の強大なY靭帯等の静的機構が弛緩しています。
そのため、大腿骨の位置決定は骨格筋に委ねられます。
にも関わらず、股関節を安定させる腸腰筋や外旋6筋が低緊張であれば、[脱力時に向きやすい方向に]足が倒れます。

例えば座位姿勢で足部を初めから閉じぎみであれば、外転外旋に倒れやすいですし、逆に大きくガニ股のように開いていれば内転内旋に倒れやすいですね。
これは脳卒中の初期段階や回復期に頻繁に見られる理由と思いますが、運動器疾患でも十分あり得ますね。

これが原因の場合は、内転内旋に倒れにくいように股関節安定化筋である腸腰筋や外旋筋を強化したり、座位姿勢での足部位置を少し狭くすることをお勧めします。

【マッスルインバランス】
これは、内転筋の方が外転筋よりも筋発揮力が強くなっている場合に起こり得ます。
殿部離床期には、股関節屈曲位である座位から、中間間である立位までに股関節伸展作用が求められます。

この伸展作用は基本的に大殿筋が重要になります。ですが、大殿筋が弱化している場合はどう立ち上がるか?やはりそれ以外の伸展筋がここぞとばかりに張り切ってきます。

その張り切る筋こそが[大内転筋]です。
以前のシェアリングアンサーでもまとめましたが、大内転筋は股関節屈曲位からの伸展動作で活動が大きくなるという特徴を有しています。
特に、体感前屈だけでは膝が動揺せず、踏み込もうと突っ張ろうとすると膝が内側に倒れる場合は大内転筋で動作を遂行しようとしていると考えられます。

よって、このマッスルインバランスが原因の場合は、大殿筋の強化をとにかく行うことです。

他にも理由は多くあると思いますが、
最も考えられる要素を二つ取り上げてみました。
難しいことを抜きにして、助言させていただくと、

股関節安定性を高めるために、深層筋の腸腰筋や外旋筋を強化し、大内転筋の優位性を低下させるために大殿筋を強化します。

患者様に当てはまるところがあれば、ぜひご活用ください^ ^