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#1946
池田拓未
キーマスター

回答させて頂きます^^

長時間座位後や朝方の痛みについては足底腱膜炎の特徴的な症状です。
ただなぜそのタイミングは明確化されていない現状です(私が渉猟する限りでは)。
ですので、あくまで個人的な考えをお伝えできればと思います。

ー長時間座位、朝方の痛みについてー

考察① 同一姿勢による不動
不動により足底腱膜の粘性が損なわれると、腱膜実質と踵骨の間に位置する線維軟骨への圧縮ストレスやせん断ストレスが増加する可能性が考えられます。また足底腱膜の解剖から考えてみると、足底腱膜は内側部・中央部・外側部の3部位に分けられ、内側・外側部は足部内在筋を覆うとされていたり、アキレス腱とも連続があるとされています1)。この足部内在筋やアキレス腱との間で滑走不全が生じることでも摩擦による痛みに繋がりやすいのかなと考えています。

考察② 足底腱膜の低下
足底腱膜の緊張が低下していると、立脚初期〜中期での荷重応力の分散ができず、踵骨付着部に応力が集中します。これは長時間座位後や朝方だけに生じるというわけではないですが、立ち上がり時に後方重心になっていたり、患側荷重が優位になっている場合には関連付けてもよいのかなと考えています。

ー夜間痛についてー
足底腱膜"炎"というぐらいですので、足底腱膜付着部への微細なストレスの繰り返しによって炎症が起こると、血管の拡張や透過性の亢進、血流の増加などによって安静時痛が惹起されるかと思います。ただ足底腱膜”症”と称されることもあり、全てが炎症では語れない部分があります。実は類似した疾患として踵部脂肪褥症候群があります。これは踵部脂肪体の硬度低下、弾力性が低下した状態のことをいい、夜間痛も起こりやすい疾患です。足底腱膜炎では圧痛が内側踵骨結節に生じやすい2)一方で、踵部脂肪褥症候群では踵骨中央に生じやすいとされています。本来エコーやMRIを用いたいところですが、簡便な鑑別方法としては圧痛がありますので、活用してみるのもよいかと思います。

以上です^^
参考程度にして頂けると幸いです。

<参考文献>
1)Stecco C et al. Plantar fascia anatomy and its relationship with Achilles tendon and paratenon. J Anat. 2013 Dec;223(6):665-76.

2)Aldridge T. Diagnosing heel pain in adults. Am Fam Physician. 2004 Jul 15;70(2):332-8. Erratum in: Am Fam Physician. 2006 Mar 1;73(5):776.

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