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回答させていただきます。
かなり広いテーマなので、少し分けて説明していきます。
神経性と一口に言っても、中枢神経性と末梢神経性があります。
筋原性も同様で、筋ジストロフィーやミオパチー等の筋原性疾患と廃用性の二つがあります。
これを前提に、各筋力低下の特徴をまずは解説していきます。
【中枢神経疾患の筋力低下の特徴】
基本的に、中枢神経障害の病態に筋萎縮は含まれにくいです。
ですが、強いて言うなれば「運動麻痺による筋力低下」と表現出来ます。
反射の亢進や巧緻性低下、筋緊張の亢進といった基本的な中枢神経障害で見られる所見が特徴です。
【末梢神経疾患の筋力低下の特徴】
特徴は、末梢優位に筋萎縮(筋力低下)がみられ、また線維束性収縮がしばしば見られます。腱反射は減弱し筋緊張は低下しますね。
※線維束性収縮とは、筋肉が細かくぴくぴくと小さな痙攣のような動きが生じること。
【筋原性疾患の筋力低下の特徴】
特徴は、近位優位に筋萎縮(筋力低下)がみられ、線維束性収縮が見られません。
【廃用性筋萎縮の筋力低下の特徴】
特徴はもちろん筋断面積の減少ですね。
また、評価しにくいところで運動単位の同期化や数も減少している可能性があります。
【見分ける評価や介入方法】
ここまでの各特徴を踏まえ流れをご提案させていただきますと、
①神経性症状があるか
中枢性か、末梢性か
↓
②筋原性疾患の診断があるか
↓
③安静期間(廃用性)があるか
筋断面積の減少があるか
私ならこの流れで確認します。いくつか例を挙げます。
例えば、
①中枢症状があり、②筋原性疾患が無く、③断面積の減少がなければ、運動麻痺による筋力低下と判断する可能性が高いです。
この場合のアプローチは運動麻痺に対する介入として、電気刺激や伸張反射を利用した反復収縮練習がベターですね。
①神経症状が無く、②筋原性疾患も無く、③断面積の減少があれば、単純な廃用性筋力低下と考えられます。
この場合のアプローチは、廃用性筋力低下の介入として過負荷の原則などの一般的な手順がマストだといえます。
①中枢神経症状があり、②筋原性疾患が無く、③断面積の減少があれば、運動麻痺による筋力低下と廃用性の筋力低下が混在していると考えられます。
この場合のアプローチは、運動麻痺に対しては反復収縮で改善を図りながら、廃用性に関しては過負荷の原則などの手順を併用することを推奨します。
【まとめ】
一般的な特徴を示したに過ぎませんが、やはり神経学所見と安静期間「断面積」の情報を頼りに進めていくことをおすすめします^ ^