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2022年1月11日 11:08 PM
#2124

キーマスター
回答させて頂きます^^
腕橈骨筋付近の痛み=前腕近位外側部痛と捉え、解釈していきます。
まずこの部位は外側前腕皮神経が皮膚知覚を司っています。そしてこの外側前腕皮神経というのは元を辿ると筋皮神経です。
ですので筋皮神経の損傷や絞扼が起こると、同部位への痛みや痺れが引き起こります。
では、筋皮神経の絞扼(臨床で多い)はなぜ起こるのでしょうか?
筋皮神経の走行に着目してみると、筋皮神経は烏口腕筋を貫通しています1)2)。
ということは烏口腕筋自体が筋スパズムなどで筋内圧が高まることで、烏口腕筋内で筋皮神経が絞扼されます。
実際に筋皮神経絞扼では烏口腕筋の圧痛や圧迫に伴う放散痛を認めることが多いです。
結帯動作では肩甲上腕関節の伸展運動を伴い、烏口腕筋が伸張されることで、前腕近位外側部痛を訴えるケースは多い印象です。
ですので、まずは烏口腕筋の状態を把握すべく、収縮時痛、伸張時痛、圧痛、放散痛を確認後、もしも筋スパズム様の症状が考えられた場合、筋の収縮弛緩によって改善するかどうかといった治療的評価をオススメ致します。
1)森澤豊, et al. "Boytchev 法における筋皮神経の解剖学的検討." 肩関節 22.2 (1998): 267-269.
2)Flatow EL et al. An anatomic study of the musculocutaneous nerve and its relationship to the coracoid process. Clin Orthop Relat Res. 1989 Jul;(244):166-71.