返信先: 股関節の前面痛について

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#2304
眞本匠
キーマスター

回答させていただきます。

中々難解な問題に直面されてますね。

股関節90°で疼痛が生じ、そこから最終域まで可動範囲がある。というのは、
endfeelの分類でいうと【empty=無抵抗感・空虚感虚性】というものです。

関節外の原因による疼痛によって、物理的な停止を得る前に無抵抗に運動が妨げられる状態と定義されており、真のendfeelではありません。急性関節炎や、心理的要因も影響することがあるとされています。

何が言いたいかというと、関節外の原因での問題であるならば、我々のアプローチ対象の可能性が出てくるという点です。

ということを踏まえていくつか臨床思考をご紹介。
上前腸骨棘の下に痛みがあるとなると、大腿直筋、あるいは大腿直筋反回頭が原因かもしれません。
大腿直筋の外側縁と縫工筋の内側縁に指を置き深部に沈め、瘢痕組織を横方向に動かすといいとされています。
大腿直筋そのものへのアプロ―チと言うわけではないので、もし試されていなければ是非。

また、評価としては自動運動と他動運動で疼痛に変化があるか?が有用です。それをしたうえで、sl-exを行います。

筋張力は低いが、自動運動時は股関節周囲筋が適切に張力を発揮している場合↓
麻痺により安静時の筋張力が低下しているのであれば、他動運動だと筋による骨頭の関節中心への誘導から逸脱することがあります。
自動運動であれば、股関節周囲筋が適切に張力を発揮するなら関節中心から逸脱せず、疼痛も出現しません。

これを評価し、もし安静時の筋張力が問題であるのなら、張力低下筋を、筋短縮位で等尺性収縮を加えます。【Sl-ex】
これにより、安静時の筋張力が上昇した状態にして再度他動運動を行います。これで疼痛が減弱すれば、やはり安静時の筋張力が問題と捉えます。

かなり難しい症例だと思いますが、少しでも臨床のたしになれば幸いです。

可能な範囲で助言させていただきたいので、また何かあればご返信ください(^-^)