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#2528
眞本匠
キーマスター

回答させていただきます。
術後3週であれば、【膝蓋腱縫合部の修復】を何より考えたうえで、拘縮予防と廃用予防に対するアプローチをするのがベターと考えられます。
なので、疼痛に注意するのは大前提としたうえで、以下の助言をさせていいただきます。

【膝屈曲の可動域制限について】
屈曲制限は、縫合部の問題と、修復過程における癒着(今の時期なら軽い)と考えられます。
なので、疼痛に注意しクアドセッティングや電気刺激で大腿四頭筋に刺激を入れます。低強度でも収縮が入ると、筋の低酸素が是正されるので、拘縮の進行は予防されると考えられます。

あとは、可能な範囲での屈曲ROMexは行います。
○ポイントとしては、屈曲ROMを膝蓋腱周囲組織を軽く押圧しながら行うことです。
滑走性を出すためによく言われる点ですが、これをするだけでかなり効果は変わります。
あとは、パテラのモビライゼーションをを前後左右だけでなく、回旋や持ち上げ操作を行うことも効果的です。

あとは、膝蓋腱断裂症例に
「膝蓋上嚢・中間広筋の徒手的持ち上げ操作(Lifting off)」を行った報告がありましたので、これら組織へのアプローチも試す価値はあると思います。↓

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2008/0/2008_0_C3P2415/_article/-char/ja/

【筋力訓練】
これも、前提として腱の修復を優先すべきなので、とにかく疼痛に配慮したアプローチが求められます。
電気刺激で恐怖心があるのですね。

私が骨折患者で恐怖心がある場合に用いている方法としては、筋収縮の導入として【連合反応の利用】をしています。

例えば頸部骨折で股関節外転筋を強化したい時は、骨折側を下にした側臥位にし、上側の股関節にクラムシェルや外転運動をします。
これにより、下側の中殿筋も連合反応で収縮が入ります。

これを、大腿四頭筋にも応用します。
例えば、長坐位姿勢で対側下肢を膝屈曲位置とします。そこから、屈曲位の下肢の足底をプッシュします。連合反応で断裂側下肢の四頭筋にも収縮が入ります。

これで疼痛が出ず収縮が触知できれば、視覚フィードバックを入れながら、徐々に連合反応を意識させながらの運動にし、慣れてくれば通常の筋力訓練を行います。

膝蓋腱断裂の症例報告はいくつか散見されましたので、リンク貼っておきます^ ^
参考になるかと^ ^

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2005/0/2005_0_94/_article/-char/ja/

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2003/0/2003_0_C1022/_article/-char/ja/

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptkanbloc/25/0/25_0_67/_article/-char/ja/

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2011/0/2011_0_136/_article/-char/ja/

https://confit.atlas.jp/guide/event/jspt51/subject/P-MT-34-2/detail