返信先: TKAについて

ホーム Question&Answer 質問コーナー TKAについて 返信先: TKAについて

#3002
池田拓未
キーマスター

こちらこそご丁寧にありがとうございます^^

最終域に術創部付近に違和感があるということですね。
関節内進入の種類(術式)が不明ということで、筋や筋膜的な部分の話は今回は控えさせて頂きます。

その上で抜糸部ということですので、今回は術創部(皮膚)に着目して考えてみます。

今回の違和感の原因となっているものとしては

①創部治癒の遅延
②長期間不動による瘢痕化

この2つが考えられます。

一度術創部を確認していただきたいのですが、腫脹や熱感、発赤、浸出液の有無はいかがでしょうか?
おそらく術後3ヶ月経過されているということでこのような状態になっていることは比較的少ないかとは思いますが、もしもこれらの所見を認める場合は①の可能性が考えられます。術後早期から過剰な屈曲 ROMexが行われ、脆弱な新生血管が損傷したり、瘢痕の形成を引き起こしてしまっているケースはいます。

ただし今回の屈曲最終域での違和感や術後3ヶ月経過していることを鑑みると、②が濃厚かと思います。
①とは真逆で不動期間が長かった場合に生じます。

「長期の不動によるメカニカルストレスの減弱は、コラーゲンクロスリンクの増加、弾力性を低下させ癒着を起こす可能性がある」1)とされています。

このような癒着が生じている(皮膚性拘縮と言ったりもします)場合に抜糸部の違和感を表出するケースは比較的多いかと思います。

また皮膚自体の癒着もそうですが、個人的には創部と皮下との間の軽度な癒着が生じているケースが多い印象です。こういうケースであれば、術創部を上下左右から徒手的に寄せた状態で、屈曲ROMexの反復にて改善することを多く経験します。

今一度上記を参考の上、術創部の評価と治療に臨んで頂けるとよいかと思います^^

<引用書籍>
1)山田英司 et al.人工膝関節全置換術の理学療法,文光堂,p40,2018.