返信先: 鼠径部痛と臀部痛を併発しているケース

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#3269
眞本匠
キーマスター

回答させていただきます。

変股症のリハって難しいですよね(^-^)

変形性股関節症の進行度が気になるところですが、列挙していただいた情報から、そのあたりの推測含め考察していきます。

変形性股関節症由来の疼痛の一般的な特徴は、
・鼠径部痛(股関節前面を指す)、長距離歩行で鈍痛や違和感
この二つです。本症例も、診断名然り被る部分が多いので、変股症由来と考えて話を進めます。

また、ROM制限や疼痛の程度からすると、進行度もそこまで進んでいない、初期股関節症辺りとして考えます。
特徴的なROM制限としては、深屈曲・伸展・外旋とされるので、そこの経時的な評価もおススメです。

【股関節屈曲外転外旋で外れる痛み】
つまり、股関節周囲の関節包や靭帯が最も緩む位置(LPP)での症状ですね。
変股症の病態は、寛骨臼の形成不全や関節面の軽度の不適合ですので、股関節が緩みの位置にあると違和感を訴える場合も考えられます。肩関節が亜脱臼の方に、屈曲外転外旋位にして違和感を覚えるのと同様なイメージです。
更に、同肢位をとるパトリックテストは診断の理学検査として使用される場合もあるので、変股症のこの肢位での違和感痛みは考えられます。
また、更に病態が進行するとインピンジメントテストも陽性になるリスクもあるため、ここも適宜評価が必要です。

〇〇
よって、アプローチポイントは、股関節の適合性不良を補うような骨格筋の強化、股関節負荷を下げる骨格筋の強化、動作指導が中心となります。
〇〇

では次に他の痛みについても推論を立てます。
左仙腸関節の痛みや、同関節付近の突っ張りというのは、股関節の適合性不良を代償するための梨状筋の過緊張と考えるのがオースドックスです。梨状筋の走行は大腿骨頚部に類似しているため、求心位に作用するとされています。
〇求心位にする筋である小殿筋や腸腰筋、閉鎖筋の筋収縮練習を実施し、梨状筋への負荷を下げてスパズムを減らします。それと共に、梨状筋の筋内圧を下げるためにも、最大筋力を向上させることも重要です。〇

左内転筋の痛みは、股関節外転筋の弱化を代償している可能性があります。
股関節外転筋には、股関節合力を下げる作用があります。もし弱化していると、内外転筋のマッスルインバランスにより内転筋の緊張が亢進する事が多々あります。
〇よって、股関節外転筋の評価及び強化をすることが、内転筋の緊張低下、股関節への負荷軽減に繋がります。〇

トレンデレンブルグ徴候が出ていれば、股関節への負荷を高めてしまうので、外転筋群の強化がやはり必要となります。歩行観察も勿論必要になってきます(^-^)

進行することを考え、動作指導(歩行速度を少し遅める・一日の総累積歩行距離を計算し、痛みが出る歩行距離や歩数を自覚し、可能であれば荷重量を減らす)を理解してもらう事もかなり大事です。

何かあれば、いつでもご返信ください(^-^)