返信先: 歩行器について

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#3910
眞本匠
キーマスター

回答させていただきます。

まず、客観的な観点からご説明します。
私のリサーチ範囲では、杖と各歩行補助具毎のカットオフを示した文献は見当たりませんでした。

なので、今回は【身体機能から見た数値による基準】はないとします。

では杖から各歩行器に移行するタイミングはいつか?の本題に入ります。

まず、
○杖歩行自立のつもりで生活をし、転倒されている場合○

この場合は、そもそも杖歩行自立では無いですね。t字杖は、【杖がなくても歩行が自立している人】が適応とする事が多いです。

この適応基準で言うと、yamashitaさんの現場で遭遇する方は、少なくとも杖の処方ではないかなとは考えられます。

では次に、どの歩行器がいいか?
これは各歩行器の特徴をまとめますので、その症例に見合ったものを選定します。↓

1.固定型歩行器
○メリット
支持面が広い
前方不安定性に強い
左右不安定性に強い
3動作歩行の方に歩容が合いやすい
加速しやすい歩容の方(失調様)に適応
3動作歩行のため、免荷歩行が非常にしやすい

●デメリット
後方不安定性に滅法弱い[重心が前方に大きく移動するにも関わらず、持ち上げる必要があるため後方へふらつきやすい]
両上肢の筋力が必要
歩行速度が遅くなるため生活距離次第では適応しない
3動作歩行のため、2動作の方には向かない

2.キャスター付き歩行器
○メリット
支持面が広い
前後左右の不安定性に強い
歩行速度が維持される
免荷機能への期待も可能
2動作歩行の方に適す

●デメリット
歩行が加速しやすいため失調様の方には適さない
免荷は可能だが、固定型よりかは荷重がかかりやすい

3.シルバーカー
シルバーカーは、t字杖同様に歩行がある程度安定した人に適応されています。歩行車とは違います^ ^

○メリット
荷物が入れられる
前方重心となり、後方不安定性が少ない

●デメリット
支持基底面内に下肢が入らないため、不安定性は拭えない
股関節屈曲位での歩行となりやすい
腰椎屈曲位となるため腰椎疾患には不向きか
ある程度レベルが高い症例に適す

今回は以上になります^ ^
各歩行器の特徴と、症例の状態を照らし合わせて選定していただけたらと思います^ ^
補足として、以下におすすめのpdfファイルを添付しておきます!
かなりまとまっているので、選定の際は参考になるかと思います!
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kousei/rihabiri/ulpdf/documents/tuehokouki.pdf