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回答させていただきます。
まずは、個人的に臨床で感じるokc.ckcのメリットデメリットについてまとめます。
①
【okc】
○メリット
関節負荷が少ない
選択的な筋収縮が可能
負荷量を調整しやすい
○デメリット
動作特異性がなく動作に直結しにくい
関節間力(剪断力)が負担となりやすい
【ckc】
○メリット
特異性の原則に則れる
関節間力を利用出来る
○デメリット
負荷量の調整がしにくい
選択的な筋収縮が困難
機械的ストレスに弱い疾患だと逆効果
リミティングファクターの弊害
このあたりですかね。
概ね馴染み深いものばかりを列挙しましたが、いくつかマイナーなものもあるので、説明していきます。↓
[関節間力]
関節間力とは、隣接する体節の接触力を表します。膝関節を例に取ると、大腿骨と脛骨が双方を押し合う力のことです。
ただ、押し合う力だけではなく剪断力も同時にかかってきます。
これが問題となったり、ならなかったりします。
ACL損傷後を考えます。okcの膝伸展をすると、大腿四頭筋により前方剪断力が増しますね。ckcのスクワットの場合は、ハムストリングスの収縮も入れると、前方剪断力が軽減します。よって、この病態の場合はckcが適しています。
[リミティングファクター ]
これは、垂直跳びを例に考えます。
垂直跳びをするには、地面を蹴り出す必要がありますね。
蹴り出すためには、股関節伸展+膝関節伸展+足関節底屈のckc運動が開始されます。
この三つの関節のどれかが弱いと、結果的な垂直跳びのパフォーマンスは【その弱い関節の筋力に依存します。】
例えば、股関節伸展や足関節底屈がMMT5でも、膝関節がMMT3であれば、その弱い膝関節が生み出すパフォーマンスに依存してしまう、というわけです。股関節と足関節は膝関節の弱い筋力に合わせてしまう。とも言い換えれられます。
これを筋力トレーニングに応用すると、
例えばステップ動作で膝関節伸展筋をckcで強化したいのに、足関節筋が弱いと膝伸展筋への負荷を弱くなる。というわけなので、
他関節の筋力が極端に弱い場合は、ckcよりokcが適しているかもしれません^ ^
以上より、okcでの筋力トレーニングを選択する理由をまとめますと、やはり1番のメリットは【選択的な筋収縮を狙える】ところだと考えています。相反抑制の利用やチューブの利用など、その汎用性の広さはかなりおすすめです。
また、前述したように、リミティングファクターを考慮してokcをする場合もあります。
②立ち上がり時の殿筋と膝伸展筋
大殿筋は動作開始直後より下部線維が先行して活動しはじめ、殿部離床にかけて筋活動が増大していく。
大殿筋上部線維は屈曲相後半から活動しはじめ、殿部離床後の伸展相において筋活動が最大となり、終了肢位まで筋活動が続く。
とされています。↓
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/17/0/17_17-A05/_pdf
次の報告です。
立ち上がる速度を1.2.3秒と分けて立ち上がった時の筋活動を研究した報告をご紹介します。↓
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680552827520
立ち上がり動作時の大殿筋の筋活動は,
1 秒16.9 ± 10.2%,2 秒13.2 ± 7.4%,3 秒11.1 ± 7.1%であり, 3 秒での立ち上がりは1 秒と2 秒と比較して有意に低い値を示した.立ち上がり動作時の内側広筋の筋活動は1 秒52.1 ± 38.2%,2 秒34.0 ± 26.9%,3 秒26.1 ± 19.8%であり,1 秒での立ち上がりは2 秒と3 秒と比較して有意に高い値を示した.
とあります。つまり、ゆっくり立ち上がるほうが膝伸展筋も殿筋も活動が増加するというわけです。また、特に膝伸展筋が速度に依存することがわかりますね。
以上より、大殿筋も上下の線維別に動作観察をしてアプローチをする必要があり、重心上昇期には膝伸展筋を強化する必要がありますね^ ^