返信先: TKA術後 関節可動域訓練について

ホーム Question&Answer 質問コーナー TKA術後 関節可動域訓練について 返信先: TKA術後 関節可動域訓練について

#4551
池田拓未
キーマスター

回答させて頂きます^^

恥ずかしながら私自身、”ROCC”というワードを初めて拝見しました。そのため色々と検索をかけてみたのですが、有名Zimmer Biomet社から出ているVanguard ROCCというもののようです。

そしておっしゃるようにインサートの部分がmobile beringになっています。

ですので、MB型の特徴に沿ったリハを展開していく必要がありますね。

ちなみにMB型の特徴は以下のとおりです⇓¹⁾
❑ 脛骨インサートが脛骨コンポーネント上で可動するデザイン
❑ 大腿骨コンポーネントとインサート間では高い適合性をもつ
❑ slidingのみを許容し、脛骨インサートと脛骨コンポーネント間では前後運動と回旋運動のみを許容する
❑ 大腿骨コンポーネントと脛骨インサート間での適合性が高いことで、接触面機を広くし、摩擦の低減をはかっている→不足する運動の自由度を脛骨インサートと脛骨コンポーネント間で補おうとしている

臨床成績的にはまだ母数が少ないということもあり、他の機種より優れた点はないようです。

一つ引っかかる点が
「mobile型は歩行時、正常よりも少ない脛骨前後移動量と不規則な回旋運動のパターンを呈している」²⁾
ということです。

色々と渉猟した情報をお伝えしておりますが、私自身このインプラントを用いた症例は見たことがないので、もし確認できるようでしたら、Drに確認してみてください。

少し前置きが長くなりましたが、本題であるMB型へのリハとしては基本的には現在行われている内容で問題ないかと思われます。

あとはTKAに総じて言えることなのですが、基本的にACLを切除すると、回旋のエラーや矛盾、中間屈曲位の安定性が十分に得られないことが多いです。

回旋に関してはmedial pivot motionを意識されているので、問題ないかと思いますが、中間屈曲位の安定性は代償しがたいものもありますので、スクワット位や階段昇降動作を確認し、不安定性が出る旨は伝えておいたほうがよいかもしれません!

また現状の自動屈曲については少し所見が少ないため、なんとも言えないというところが実際です。。。
TKAの場合は、皮切の種類、関節進入の種類が大きく関与してきます(特に術後早期は特に)。確かに膝蓋上嚢に対してアプローチを行っていけば、勝手に良くなることは多いかと思いますが、このままだと少し腑に落ちないところもあるかと思います。もしも追加で分かる所見がありましたら、些細なことでもお伝えいただけますと幸いです^^

1)山田英司 et al. 人工膝関節全置換術の理学療法,文光堂,p87,2018.
2)井野拓実 et al. 人工膝関節岡換術後の歩行分析ー機種によるキネマティクスの違い一. 日人工関節会誌 43:5-56.2013.