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ご質問ありがとうございます。
歩容のばらつき=転倒リスクが高い症例と考えられます。
特に立脚後期のばらつきが転倒と相関があるので、確認が必要と思います^ ^
トゥクリアランス低下に関しては、以前類似した質問をいただいた時の回答をご参照ください^ ^
まずは、トゥクリアランス低下のメカニズムについて解説していきます。
トゥクリアランス低下は、
その場面だけを切り取ると
「遊脚期の膝関節の屈曲不足」
「遊脚期の足関節背屈不足」
「対側立脚期の過度な膝関節屈曲」
この3つのどれかが見られます。
ただこれは、あくまで立脚期の問題による結果論のことが多いです。
立脚後期〜前遊脚期で股関節がしっかりと伸展され、足関節背屈と足趾が伸展位になっていれば、エネルギーが蓄積されている状況です。ゴムを引き伸ばしたようなイメージですね。
この状態から股関節を振り出すと、二重振り子の要領で膝も自然と曲がってきます。
これが、トゥクリアランスが保たれる大きなメカニズムです。
よって、
①股関節伸展可動域、足関節背屈、足趾伸展可動域が保たれているか。
②その可動域を、立脚後期に股関節伸展位へと繋がっているか。
この二つは評価が必要と考えています。
さらにいうと、逆に腸腰筋の筋緊張が低下しているとエネルギーが蓄積されず、振り出しも二重に起きにくくなります。よってクリアランス低下へと繋がるのです。
よって、「腸腰筋の硬さ」の確認も重要です。
補足ですが、もちろん前脛骨筋の筋力低下でもクリアランス低下は発生します^ ^
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以上より、今回の患者さんのケースだと
可動域に問題がなく、筋力低下もないとなれば、
立脚後期に股関節が伸展域まで動いているか、
その時に腸腰筋が引き伸ばされているか
この二つが機能していない可能性を疑います。