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#611
眞本匠
キーマスター

回答させていただきます。
個人的な臨床感を踏まえた上での内容になりますので、question answerでお答えします。

閾値=疼痛とすると、

まずポイントとなるのは、【押圧している組織には何が多く含まれているか?】ということです。
基本的に皮下脂肪(脂肪体ではない)を押圧しても、大きくへこみはしますが、痛みは出にくいですね。側臥位での大腿後面を想像すると、圧を強くしないとハムストリングスに到達しないので疼痛も出にくいです。
ですが、SLRの位置でハムストリングスを押すと、皮下脂肪が移動するので容易に筋に届き疼痛が出やすい。
つまりは、いかに筋腹や腱骨移行部に届きやすいとかどうか。が閾値を決める一要因だと考えています。
疼痛が強いようであれば、臨床で姿勢を変えてみたりするのもいいかと思います。

次にポイントとなるのは、【筋の付着部付近の骨】だと考えます。ここは疼痛が出やすいです。今回の疑問は、個人的にはこのポイントが最も大きな要因かと思われます。
例えば烏口突起、肩甲骨上角、大転子上縁など。これらの骨の名称を、筋が停止していない部分で押しても痛みは出にくいですが、少し斜めであったり、周囲から押圧するとかなりの疼痛が出ます。
臨床では、同部位に押圧を加えるにしても、角度を変えたり、少し狙いの周囲に押圧するのもアリかと思います。

次にポイントとなるのは【不快感】です。
恥骨部付近や腋窩部分などは不快感が強いので、閾値が低く疼痛を訴えやすい場面によく遭遇します。
また、押圧組織の下に内臓等がある場合も、不快感を生じやすいですね。腹直筋の下部だと腸がありますので、不快感で押圧を止めざるを得ない時があります。
臨床では、相手に体を受け入れてもらうために、極力ゆっくりと組織に沈み込むような押圧をおススメします。

次にポイントとなるのは、経穴(ツボ)やトリガーポイントですね。
場所によってある程度決まっていますので、その部分を押さえると閾値が低いことはしばしばあります。

あとは、【筋スパズム】ですね。
スパズムは圧痛があるのが所見としていわれています。
そのため、梨状筋や腸腰筋、上腕二頭筋等、臨床でも負荷がかかりやすくスパズムが起こりやすい筋は疼痛閾値も下がる傾向にあるかと考えます。
臨床では、これが原因の場合は局所循環が低下しているので、自動運動を繰り返しスパズムを落とした後に押圧をおススメします。

各ポイントの細かい生理学的機序は不明確なため執筆は控えさせていただきますが、これらのポイントを加味し、押圧していただたらと思います。

  • この返信は2年前に眞本匠が編集しました。