返信先: 肩の夜間痛について

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#894
池田拓未
キーマスター

回答させて頂きます^^

肩関節における夜間痛の原因として最も多いのは”肩峰下圧の上昇”です。
烏口肩峰靭帯の切除や肩峰下除圧術が夜間痛に有効とされていることから肩峰下圧の上昇との関わりが考えられています。

では、なぜ肩峰下圧が上昇するのか?考えられる要因は多くあります。
ざっくりいうと、何かしらの要因で肩峰と上腕骨頭の距離が縮まること、あるいは第2肩関節に存在する組織の異常が考えられます。

・肩峰下の骨棘
・烏口肩峰靭帯の肥厚
・腱板の石灰化
・肩峰下滑液包炎や腱板炎による浮腫
・腱板のスパズムや肩峰下滑液包の癒着
・関節包の肥厚、線維化による関節包容積の減少etc...

そのため評価としては炎症の有無の確認(疼痛範囲や自発痛の有無より)、腱板の圧痛、収縮時痛、伸張時痛、肩甲上腕関節内転可動域などこのあたりは見ておいたほうがよい項目です。また夜間痛症例は1st外旋と結帯の可動性が減少し、肩甲骨は下方回旋しやすいとされているので、そのあたりも要チェックです。介入としては炎症があるなら安静を指示、腱板のスパズムを認めるのでスパズムの軽減(1a抑制・1b抑制・反回抑制を用いて)、1st外旋制限があるのであれば、肩甲下筋上部線維や烏口上腕靭帯のストレッチなどを行っていくべきだと思います。

実際の就寝時に痛みが生じるメカニズムとしては、
仰臥位での就寝→肩甲骨が床面で固定された状態で、肩甲上腕関節が重力によって伸展、外旋方向へ強制され、腱板疎部が伸張される
側臥位での就寝→患側を下にした場合、肩甲上腕関節の内転や3rd内旋(後方組織の伸張ストレス)が生じ、患側を上にした場合でも肩甲上腕関節の内転や水平屈曲(後方組織の伸張ストレス)が生じる

これらが考えられます。そのため、仰臥位であれば肩の下に枕やクッションを入れ、腱板疎部への伸張ストレスの軽減を図り、側臥位であれば、患側下での側臥位は控え、上にした状態で抱き枕を抱えるなどのポジショニングが必要になります。

あくまで今回は”肩峰下圧の上昇”にフォーカスを当てましたが、他にも上腕骨内圧の上昇や異常血管(もやもや血管)などとの関連性もあります。

少しでも参考になっていれば幸いです!!!

  • この返信は1年、 11ヶ月前に池田拓未が編集しました。